■「損なわれた」米とトルコの関係

 エスパー氏は14日、トルコの侵略により米トルコ関係は「損なわれた」との声明を発表。来週、ベルギーのブリュッセルでNATOと対応を協議すると述べた。

 緊張が高まる中、米国は対トルコ制裁を発表したものの、米国とトルコの軍事同盟の重要性に危機が迫っているようには見えない。

 米安全保障プロジェクト(American Security Project)によると、米国はトルコ南部インジルリク(Incirlik)軍事基地に戦略核兵器50発を保有している他、同基地はイスラム過激派「イスラム国(IS)」に対する攻撃の拠点ともなっている。

 米シンクタンク「外交問題評議会(Council on Foreign Relations)」のスティーブン・クック上級研究員(中東・アフリカ研究)は、米国はトルコが長年持つクルド人に対する敵意に締め付けられていると指摘する。

「問題はトルコ政府が、YPGがクルド労働者党(PKK)と呼ばれるトルコ系クルド人グループと密接につながっていると見なしていることだ」

 クック氏は、PKKは1980年代半ばから、トルコに対するテロ作戦を展開しており、トルコはYPG・PKKと米国の関係に憤慨していると指摘する。このためエルドアン氏は、それに対し何らかの最終的な手を講じるよう国内で圧力を受けているという。

「(米国と)YPGの関係は状況の産物だと考えている。米国は戦場でイスラム国に対抗する同盟相手を探していた」

 2015年に米軍がクルド人部隊と同盟関係を結んだ時、YPGに名称を変えるよう提案したのは米国だった。これを受け、クルド人らは「クルド人民防衛部隊(YPG)」ではなく「シリア民主軍(SDF)」を名乗るようになったとクック氏は話す。

「名称に『民主』と入れたのは名案だった」「これによって少しばかりの信頼性が付け加えられた」 (c)AFP/Sylvie LANTEAUME