■ルーマニアの議員たちがマイケル・ジャクソンさんを推薦

 ノーベル賞の候補者リストは最低50年間極秘扱いだが、推薦者は選んだ対象を公表することができる。

 国際サッカー連盟(FIFA)は2001年、サッカーという競技をノーベル平和賞候補に推薦した。陰で尽力したスウェーデンの議員は、スポーツには「前向きな国際交流を促す力」があり、「より平和な世界」に貢献していると主張した。

 だが、そうした発想で推薦が行われたのはそれが初めてではなく、1956年にはサッカーW杯の創設者であるジュール・リメ(Jules Rimet)氏がノーベル平和賞候補になったと、ジャーナリストのアントワーヌ・ジェイコブ(Antoine Jacob)氏は記している。

「キング・オブ・ポップ」こと、マイケル・ジャクソン(Michael Jackson)さんも1998年に候補者に挙がった。

 当時は子どもに対する性的虐待疑惑の多くは表面化されていなかったが、ジャクソンさんが歌にした「Heal the World(世界を癒やす)」のメッセージにノーベル賞委員会が感じ入ることはなかった。

「マイケル・ジャクソンさんを推薦したルーマニアの国会議員たちは、真剣そのものだったが、委員会で考慮されることはなかった」とルンデスタド氏は話す。

 しかし、有名なミュージシャンが候補者となることはあり得ないことではないという。「アーティストの名前は一定の間隔で挙がっているが、それは最近になっての傾向だ」とニュルスタッド氏は説明する。

 今年10月11日に発表されるノーベル平和賞の候補者としては、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領やスウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリ(Greta Thunberg)さんらが知られている。

 しかし、候補に挙がっただけで大騒ぎすべきではないとルンデスタド氏はくぎを刺す。「候補者になることはとてもたやすい」が「受賞するのは、はるかに難しい」。(c)AFP/Pierre-Henry DESHAYES