【9月26日 CNS】中国・江蘇省(Jiangsu)蘇州市(Suzhou)の陽澄湖(Yangcheng Lake)と太湖(Taihu)で旧暦の「秋分の日」の23日、上海ガニの漁が同時に解禁となった。環境保護の圧力が一層深まる中、カニの養殖と環境保護のバランスをいかに取るかは、漁師が直面する大きな課題だ。

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 陽澄湖では、2016年末の養殖面積はそれまでの約半分に圧縮され、2017年の生産量は前年の約2100トンから約1200トンまで急激に減少した。

 陽澄湖の若手カニ養殖家である顧敏(Gu Min)さんによると、今年、陽澄湖の養殖者が採用したのは「大型の雌ガニ(株ガニ)が生んだ稚ガニを養殖池で生育する方法」で、このため五母(中国のカニの大きさの単位)サイズの雌ガニの価格は一時、1匹1000元(約1万5000円)にまで上がった。酸素供給設備などを使うことにより、養殖密度を大きく改善できるようになったという。

「今年は高温の日が少なかったので、カニにとっては脱皮が容易で、脱皮後の生存率も高かった。加えて、環境改善後、湖の水質が良くなり、今年はサイズが大きく、品質も昨年より良くなった」という。蘇州市陽澄湖上海ガニ養殖協会によると、今年の総生産量の予想は昨年の1300トンを上回る約1400トンで、価格も昨年比で10%高くなるという。

 長年にわたり陽澄湖の競争相手だった太湖は、さらに厳しい状況に置かれている。生態環境部が定めた太湖の環境保護に関する規定により、今年の6月末までに蘇州市管轄水域3000ヘクタールにあった養殖網は全て撤去され、太湖では養殖網によるカニ養殖はできなくなった。

 そして、漁業管理部門が東部区域で約1万ヘクタールの「天然養生修復区」を設定し、漁業資源の増殖容量に基づき稚ガニを放流した。また、今年は初めてカクレガニなどの稚ガニ計800万匹を放流し、湖の自然環境の中で餌を食べ、自然の中で成長させている。

 事前調査では、成長状況は良好で、今年の天然ガニは100トンが提供可能だ。価格は従来に比べ高めで、標準サイズで1匹160元(約2420円)前後となる見込み。現在、沿岸の各区域ではカニの標準養殖池の建設が行われており、来年は太湖産の生産量は引き続き回復するとされる。(c)CNS/JCM/AFPBB News