【9月22日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領をその職から追い払うため、首都モスクワへ向かって歩いて旅していたところを拘束されたシベリア(Siberia)出身のシャーマン(霊媒師)が、精神科病棟に収容されたことが分かった。当局が20日に明らかにした。

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 自称シャーマンのアレクサンドル・ガビシェフ(Alexander Gabyshev)氏は、同国東部に位置する地元サハ共和国からモスクワまでの行程の約3分の1を踏破したものの、19日夜にバイカル湖(Lake Baikal)近くで拘束された。

 サハ共和国保健省は、「ガビシェフ氏はきょう、共和国内の精神科医療施設に移送された」とし、同氏はそこで「専門的な治療」を受けると発表。「この患者に症状が確認されたら、適切な治療を提供する用意が整っている」と述べた。

 だが政権に批判的な人々は、反体制派らを統合失調症や偏執症と診断して閉じ込めるという、旧ソ連時代に幅広く用いられた「懲罰的な精神医学」と呼ばれる手法を用いているとして、当局を非難している。

 ガビシェフ氏は今年3月、テントなどの持ち物を積んだ簡素な荷車を引きながら、約8000キロ先の首都モスクワを目指して歩き始めた。同氏は諸都市を通過しながら支持者らと出会い、その一部は旅に加わったり、旅の様子を動画撮影したりした。

 また、ガビシェフ氏のプーチン大統領に対する単刀直入な発言はメディアの注目を集め、ソーシャルネットワーク上では共感の声が上がった。

 ガビシェフ氏がブリャート共和国の首都ウランウデ(Ulan-Ude)に現れた際には、衝突が発生して同氏の信者らが拘束される騒ぎも起きていた。

 19日には、信者らによると、ガビシェフ氏と信者らがバイカル湖の近くで眠っていたところ、覆面姿の警官らが幹線道路を封鎖し、同氏を拘束した。

 ガビシェフ氏の拘束後も残された信者らは、同氏が描かれ、「シャーマンの道:ロシアに自由を取り戻すため」というスローガンが記された旗を掲げながら歩き続け、その様子を撮影した映像をインターネット上に投稿した。

 信者の一人であるビクトル・エゴロフ(Viktor Yegorov)氏は、「治安当局はわれわれの指導者を逮捕した。われわれの目標は、彼の自由を確保するために歩き続けることだ」と語った。(c)AFP