【9月10日 AFP】米メディアは9日、米国の情報源として働き、ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が2016年の米大統領選における介入で直接的な役割を果たしたことを確認したロシア政府高官を、米情報当局が退避させていたと報じた。

 米CNNの報道によれば、情報源となった人物はプーチン氏にも接触できる立場にあったとし、プーチン氏の机の上にあった重要度の高い書類の写真を送信するなど、過去数十年にわたって情報を提供していた。だがドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領とその政権が繰り返し機密情報の取り扱いを誤ったことで、その正体が暴かれかねないと懸念され、この高官は2017年にロシアを出国したという。

 だが中央情報局(CIA)はこの報道に対し反論。CIA報道官はCNNに対し、「大統領がおのおのに日々接する、米国にとっての最重要機密の取り扱いの結果、いわゆる退避作戦が行われたとする見当違いの臆測は不正確だ」と述べた。

 その一方、ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じたところによると、CIAは2016年後半にこの人物に退避を提案したが、当初本人が家族の問題を引き合いにして拒否したため、二重スパイになったのではないかとの懸念が浮上。だが数か月後、この情報提供者が折れたという。

 さらに同紙は、2016年の米大統領選でトランプ氏が対立候補であるヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)氏に対して有利になるよう、ロシアの介入をプーチン氏が直接画策したとする米情報機関の結論を導いた情報の提供において、この高官が主要な役割を果たしたとしている。CIAにとっては、ロシアで最も価値ある情報源だったという。(c)AFP