【9月5日 AFP】「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を前日に発表した香港政府のトップ、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は5日、民主派デモの参加者らに対し、抗議活動を終結させるよう求めた。同長官が抗議活動の主要な要求に屈したことは驚きを持って受け止められたが、「少な過ぎる、遅過ぎる」決断だとして批判を浴びている。

 林鄭長官は5日、前日に引き続き懐柔的なトーンで記者会見に臨んだ。その席で同長官は、逃亡犯条例改正案を完全に撤回するとの決定は「できる限り早く暴力を防ぎ、混乱を止める一助とする」試みだと説明。

「社会における不満が、同改正案をはるかに超えて拡大していることは、われわれの多くにとって明白だ」とし、不平等と政府に対する怒りが急激に膨らみ、解決を必要としていることを認識していると述べた。

 またデモ参加者らに対し、政府との対話に入るよう改めて呼び掛け、さらに穏健派に対しては、過去14週にわたって機動隊と頻繁に衝突を繰り返している好戦的な勢力との関係を断つよう求めた。

 だが今回の遅過ぎた譲歩が、デモを終結させて香港社会に広がる分断を癒やす兆しはほとんど見えていない。(c)AFP