【9月5日 AFP】香港政府のトップ、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官は4日、「逃亡犯条例」改正案の完全撤回を発表したが、3か月に及ぶ抗議デモを繰り広げてきた香港民主派の活動家らは、運動を継続し、圧力を掛け続けていくと明言した。

 4日、中国本土への容疑者引き渡しを可能とする「逃亡犯条例」改正案が完全撤回されるとの第一報を現地メディアが伝えると、これを好感した香港株式市場は午後の取引で4%近く上昇した。しかし民主派活動家らが、より広範な民主化運動で圧力を掛け続けていくという決意と怒りを表明すると、市場の期待感はすぐに薄れた。

 2014年の民主化デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」の学生リーダーで、警察が先週相次いで拘束した民主派の中心人物の一人、黄之鋒(ジョシュア・ウォン、Joshua Wong)氏はツイッター(Twitter)に「少なすぎる、遅すぎる」と投稿。

 黄氏は訪問先の台湾で、「自由を求めて闘うというわれわれの決意と勇気は持続していく」「香港人は、普通選挙権を与えられてしかるべきだ。われわれは自分たちの政府を選べてしかるべきだ」と訴え、民主化デモを継続する方針を示した。

 逃亡犯条例案に端を発した香港のデモは、警官隊との衝突が激化する中、警察による暴力行為疑惑に対する独自調査や逮捕されたデモ参加者に対する恩赦の要求、デモ参加者を暴徒扱いすることの撤回などを求める広範な運動に発展した。さらに民主派は、中国政府が越えてはならない一線としている香港市民による行政長官の直接選挙も求めている。(c)AFP/Jerome TAYLOR, Yan ZHAO