【9月5日 AFP】香港で数か月にわたり続いている民主化デモへの対応方法をめぐり、中国は、デモ隊と対話を行うのか、持久戦に臨むのか、あるいは軍を派遣するのかといった難しい選択肢に直面している。

 危機打開を目指す中国政府にとって考えられる戦略は、以下の通り。

■持久戦

 中国政府は今のところ、香港警察および香港のトップ、林鄭月娥(キャリー・ラム、Carrie Lam)行政長官に対する国を挙げた強固な支持を表明しており、デモ隊に対しては、彼らの行動は「容認できない」と警告を発している。

 ロイター(Reuters)通信が入手した音声記録によると、林鄭氏は経済界トップらに対し、中国政府は建国70周年に当たる10月1日の国慶節までにデモを鎮静化させようと「期限」を決めているわけではないと語っている。「彼らは長期戦もいとわない。従って、短期間では解決しない」

 2014年に香港で行われた民主化デモ「雨傘運動(Umbrella Movement)」では、中国政府は静観する立場をとった。このデモは主要メンバーらの逮捕後、中国から譲歩を引き出せないまま消滅していった。

 香港では今週、学校や大学で新学期が始まった。生徒や学生らが授業に出るようになれば、抗議デモも沈静化するだろうと中国政府は期待している。

 だが、関与しないという戦略は、習近平(Xi Jinping)政権が抗議活動に対して強固な方針を取っていても、弱腰との印象を与える可能性もある。

■和解

 中国政府は、デモ隊との妥協案を探すよう香港政府に圧力をかける可能性もある。

 中央政府報道官は3日に行われた記者会見で、所得格差や不動産価格など香港社会が抱える問題に取り組む必要性に言及し、融和的な語調を強めた。

 中国政府はまた、デモ隊の主要な要求の一つである林鄭氏の辞任を画策する可能性もある。だが、日を追うごとにその可能性は低くなっている。

 ロイターが入手した音声記録の中で林鄭氏は、「選択肢」があれば辞任したいと話していた。これは、中央政府は今のところ、林鄭氏の続投を望んでいることを示している。