【9月6日 AFP】無責任な犬の飼い主は処罰され、反体制派はブラックリストに登録される──中国の社会信用制度は、「どのような行動が望ましく、望ましくないか」を当局が定義するもので、前例のない規模の市民生活管理を可能にするとの警戒の声が上がっている。

 中国国務院が2020年までに全国的な導入を目指している社会信用制度の狙いは、報奨と懲罰の抑止力を通じて国民の品行を標準化し、社会全体で個人の行動を効率的に査定することにある。

 反体制派の作家、野渡(Ye Du)氏は、「これは社会を全体主義的に管理する新手の方法で、全員の生活の何もかもがこれまでに例がないほど監視されることになる」と警告する。

 だが、これまでのところ制度に統一性はなく、行動の善悪という「信用度」の尺度は市町村ごとに異なり、報奨や処罰の対象も一定ではないと、専門家らは指摘する。

 北京の場合、信用度が高い市民は政府の仕事を確保できる可能性が高まり、子どもを公立の幼稚園に入れる際にも有利となる。一方、河北省(Hebei)秦皇島(Qinhuangdao)の報奨は、「模範的な市民証明書」の発行と年1回の無料健康診断だ。

 米エール大学(Yale University)の中国法専門家ジェレミー・ダウム(Jeremy Daum)氏は次のように述べている。「社会信用制度は、全くもって信用スコアとはいえない。実際は曖昧な概念で、さまざまな規制を網羅している。記録することで人はより正直に行動し、不正行為が減るというのが唯一の共通した特徴だ」

 中国社会信用情報センター(National Public Credit Information Center)によると、当局は2018年、社会信用度が低い数百万人に対して飛行機や鉄道の利用を禁止した。規制対象となった一人に中国人女優ミシェル・イェ(Michelle Ye Xuan)さんがいる。イェさんは3月、当時付き合っていた男性に対する名誉毀損(きそん)で有罪とされ、裁判所命令に従わなかったとして飛行機の利用を制限された。