■企業に適用の可能性

 だが、社会信用制度に抵触した場合の処罰について明確な規則はなく、個人の格付けを調べる簡単な方法も存在しない。

 国家行政学院(Chinese Academy of Governance)で公共管理を教える竹立家(Zhu Lijia)教授は、「現在、中国で進められている社会信用実験の大きな問題は、大半の人が知らないうちにブラックリストに入れられてしまうことだ」と指摘する。「何をすればブラックリスト入りになるのかについてもかなりの混乱が生じている」

 北京では、自治体の許可を得ずにポプラの木13本を切り倒した男性が罰として木を65本植えるよう命じられたこともあった。

 当局は、社会信用制度は市民の法的権利を侵害するものではなく、学校や病院などの公的サービスの利用にも影響はないと躍起になって説明している。

 だが、人権活動家らは、社会信用制度が中国の大規模な監視制度と併用されると、反体制派の口を封じる武器になる恐れがあると警告する。また、収集されている個人情報や企業情報の詳細や保管期間も明らかにされていないため、プライバシーに対する懸念も広がっている。

 英情報調査会社IHSマークイット(IHS Markit)によると、中国で路上や建物、公共の場所に設置されている監視カメラは、2016年で約1億7600万台に上る。一方、米国では5000万台だった。さらに2022年までに、その数は27億6000万台に達するとみられている。

 中国政府は年内に企業に対する社会信用制度を全国的に導入する計画を進めている。これにより、国内外の企業は敷地内への監視カメラの設置と、政府へのデータ提供を求められる可能性がある。(c)AFP/Poornima WEERASEKARA