【8月26日 AFP】スーダンで2003年に発生し「世界最悪の人道危機」と言われたダルフール(Darfur)紛争で、米国人看護師メアリー・ジョー・フローリー(Mary Jo Frawley)さんは脚にけがをした幼い子供の手当てをした。それから15年がたった今月、フローリーさんは地中海の移民救助船で、成長したこの子供と奇跡的な再会を果たした。

 緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」と仏NGO「SOSメディテラネ(SOS Mediterranee)」が共同運航する移民救助船「オーシャン・バイキング号(Ocean Viking)」は、今月9日から12日の間に、リビア沖でボート4隻に乗っていた計356人の移民を救助した。その中に、2歳だった2004年にフローリーさんの手当てを受け、現在は17歳になったオマルさんがいた。

 フローリーさんは、「この赤ちゃんを覚えている。母親が彼を連れてきた。襲撃を受けた時に右脚を負傷して、手当てが必要だった。全員山の方へ逃げなければならず、とても困難な状況だった」と話した。

 オマルさんはフローリーさんとの出会いを覚えていないが、当時のことは「母が教えてくれた」と語った。オマルさんのふくらはぎには今も傷が残っている。

 オマルさんは、ダルフール紛争のさなか、爆撃に遭って負傷した。ダルフール紛争は、アラブ系中心のスーダン政府によって社会の隅に追いやられていると不満を募らせたアフリカ系住民が蜂起して勃発。スーダン政府が牧畜民に武装させて鎮圧に当たらせたところ、大規模な虐殺が発生した。国連(UN)は、少なくとも30万人が殺害されたと推定している。