【8月16日 AFP】英領ジブラルタル(Gibraltar)の最高裁は15日、国際社会による制裁に違反しシリアへ原油を輸送していた疑いで拿捕(だほ)されたイランの石油タンカー「グレース1(Grace 1)」について、解放を認める決定を下した。タンカーの解放阻止を試みていた米国に打撃を与えた形だ。

 アンソニー・ダドリー(Anthony Dudley)主席判事は、グレース1は「もはや拘束対象ではない」と述べた。

 ジブラルタル自治政府はこれに先立ち、イラン政府から書面で、グレース1は「欧州連合(EU)の制裁対象となる」国へは向かわないという保証を受けたと発表。同自治政府のフェビアン・ピカード(Fabian Picardo)主席閣僚(首相)は「グレース1の拘束が必要であると疑う合理的な根拠は、もはやない」と述べていた。

 米国は裁判所による発表の直前、ジブラルタル自治政府に対しグレース1の拘束を求める土壇場の法的措置に出ていた。

 この措置はグレース1への処遇をめぐる最高裁の判断を遅らせたが、ダドリー主席判事は決定の言い渡しで、自身は米国から書面による要請を受けていないと指摘した。しかし、米政府はグレース1がジブラルタルの領海を去る前であれば、同船の拘束を再び求めることが可能だ。(c)AFP