【8月14日 AFP】「世界三大テノール」の一人に数えられる伝説的オペラ歌手、プラシド・ドミンゴ(Placido Domingo)氏(78)によるセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)の疑惑が13日に発覚し、同氏が2003年から監督を務める米ロサンゼルス歌劇場(LA Opera)が疑惑の調査に乗り出したほか、予定されていた2公演が中止される事態となっている。

 ドミンゴ氏は疑惑を否定しているものの、身元が判明している1人を含む複数の女性の告発によると、同氏はオペラ界最高の歌手という立場を利用し、女性たちに性的関係を迫っていたという。

 歌手8人とダンサー1人はAP通信(Associated Press)の取材に対し、ドミンゴ氏によるセクハラは1980年代から続いていたと告発。うち1人はスカートの中に手を入れられたと語り、別の3人は無理やりキスされたと証言した。また、ドミンゴ氏の誘いを断ったため自身のキャリアが損なわれたと感じたと語る女性たちもいた。

 ドミンゴ氏は声明で、「匿名の個人から古いもので30年も前の疑惑を掛けられており、大変悩ましい」とした上、女性らの話は「不正確」であると主張した。

 ドミンゴ氏はさらに、「やり取りや関係の全てが常に歓迎され、同意があったと信じていた。私を知る人々や一緒に仕事をしてきた人々は、私が誰かを意図的に傷つけたり、気分を害したり、恥をかかせたりするような人間ではないと知っている」と疑惑を否定する一方、現在適用される規則や基準が昔と大きく異なると理解しているとも加えた。

 一連の告発を受け、フィラデルフィア管弦楽団(The Philadelphia Orchestra Association)は9月18日に予定していたドミンゴ氏への出演依頼を取り下げたと発表。

 サンフランシスコ歌劇場(San Francisco Opera)も、10月6日に予定されていたドミンゴ氏の公演を中止した。

 またニューヨークのメトロポリタン歌劇場(Metropolitan Opera)は、ロサンゼルス歌劇場の調査結果を待ってから最終決定を下す方針を示している。(c)AFP / Peter HUTCHISON