【8月16日 CNS】中国・甘粛省(Gansu)酒泉市(Jiuquan)瓜州県(Guazhou)鎖陽城(Suoyang)遺跡文物管理所はこのほど、重点文化財「東千仏洞」石窟は8月から一切の見学を受け付けないことを明らかにした。

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 管理所が発表した「東千仏洞石窟の対外開放中止に関する通知」によると、石窟は祁連山脈(Qilian Mountains)の支脈である長山子北麓の乾燥した荒漠な自然保護区緩衝区にあり、今回の措置は自然環境保護の趣旨に基づくものとしている。

 東千仏洞は、瓜州県の東南92キロメートルのゴビ峡谷にあり、敦煌(Dunhuang)の「西千仏洞」と対称的な地理的位置にあるため、代々、「東千仏洞」と呼ばれてきた。その中の第7窟に「接引仏(注:阿弥陀如来)」が描かれていることにより、またの名を「接引寺」とも呼ばれる。洞窟は五代十国の時代から建設が始まり、宋、西夏、元、清の時期にそれぞれ補修や追加工事が行われ、徐々に大規模な石窟群が形成されたとみられている。

 東千仏洞は敦煌石窟群の一つとして「西夏」時代の壁画芸術を代表する作品だ。現存の石窟は23か所、壁画と塑像を現存する石窟は9か所、壁画の総面積は486平方メートルに上り、彩色塑像は56体ある。その中で、西夏の壁画「水月観音」「玄奘取経図」「薬師仏出行図」などは、リアルな画風と、容姿が優美で、保存状態も良く、東千仏洞石窟の独特な風格を表している。

 世界遺産の「莫高窟(Mogaoku)」と同じく敦煌石窟群に属してはいるが、東千仏洞は長期間にわたり外界に知られることはなかった。2013年5月に観光客が東千仏洞の石窟壁画の上に落書きをしたことで一躍有名になり、この国家級の文化財がようやく注目されることになった。

 公開資料によると、近年、政府は東千仏洞石窟に対し、石窟の岩石部分の強化や彩色壁画の保護修復などを進め、保存状態の改善に努めているとのことだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News