【8月5日 AFP】インドとパキスタンが領有権を争うカシミール(Kashmir)地方の印支配地域、ジャム・カシミール(Jammu and Kashmir)州で5日早朝、現地当局が地域の大部分を封鎖した。AFP特派員によると携帯電話やインターネット、固定電話の通信が遮断されており、政治指導者らが軟禁されたとの情報もある。

 印パ両政府は、カシミールを分断する事実上の国境である「実効支配線」周辺での両国軍の衝突をめぐって非難の応酬を交わしており、インド政府が1万人以上の兵を派遣して以降の10日間で緊張はさらに高まっている。治安当局筋によるとさらに7万人が追加派遣された模様で、派兵数としては過去最大とみられる。

 また通信が遮断される前、元政治家を含むジャム・カシミール州の政治指導者たちがツイッター(Twitter)に自分たちが自宅軟禁に置かれていると投稿。オマル・アブドラ(Omar Abdullah)元州首相は、「自分は真夜中から自宅軟禁下にあるようだ。ほかの主流派指導者に対しても同じ措置がすでに始まっている」と投稿した。

 ジャム・カシミール州の夏の州都スリナガル(Srinagar)などに対する州政府の発令によると、市民の移動の禁止や教育機関の閉鎖が命じられたほか、集会の開催も一切禁じられているという。

 また州政府はテロ予告への対応だとして治安対策を導入し、その中で食料・燃料の備蓄も呼び掛けた。ただ、これにより住民の間にはパニックが広がり、ガソリンスタンドや食品店、ATMなどの前には長蛇の列ができた。

 地域住民がAFPに語ったところによると、スリナガルの一部区域では大量の兵士が集まっており、銃声も聞こえたという。(c)AFP/Parvaiz BUKHARI