■CO2排出量が吸収量を上回る恐れ?

 二酸化炭素の吸収量が排出量を上回る国は、豊かな森林資源に恵まれたブータンと南米スリナムの2か国しかない。

 牛、焼き畑など農業活動から排出されるメタンガスが、かつてはブータンが排出する主な温室効果ガス源だった。だが、近年、排出源は産業活動や自動車に取って代わられた。

 ブータンは憲法で、国土の少なくとも60%を森林とすると規定しており、この数字は現在70%を上回っている。

 だが、今やブータンは、最大の収入源となっているインドへの水力発電輸出量を上回る量の化石燃料を輸入している。

 同国の国家環境委員会(National Environment Commission)は、交通渋滞や自動車ブームにもかかわらず、ブータンは今なお二酸化炭素の吸収量が排出量を上回っていると主張しつつも、これ以上の事態の悪化を食い止めたいともしている。

 同委員会のソナム・P・ワンディ(Sonam P. Wangdi)氏は「われわれは人々の車の購入を止めることはできない。だが、代わりにハイブリッドカーや電気自動車など、大気汚染が少ない車を紹介し、二酸化炭素排出量を少なくすることはできる」と語った。(c)AFP/Nidup Gyeltshen