【8月1日 AFP】2020年米大統領選に向けた野党・民主党の第2回公開討論会は、2日目の7月31日、世論調査で支持率トップのジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領(76)が登壇し、医療保険制度などをめぐって他候補らと論戦を交わした。

 2日目の討論は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の退陣という共通の目標に向けて各候補が団結する冷静な滑り出しとなった。バイデン氏は「大統領閣下、はっきりさせておこう。われわれは(米国を)愛しているし、見捨てない。ここにとどまり、決してあなた任せにはしない」と述べた。

 複数の候補者がバイデン氏に同調し、トランプ氏を非難。コリー・ブッカー(Cory Booker)上院議員はトランプ氏を「扇動政治家」と呼び、トゥルシ・ガバード(Tulsi Gabbard)下院議員は「愛国者の振る舞いではない」と断じ、マイケル・ベネット(Michael Bennet)上院議員はトランプ政権について「てんやわんやだ」と評した。

 しかし、間もなくバイデン氏とカマラ・ハリス(Kamala Harris)上院議員(54)との対決が表面化。バイデン氏は、第1回討論会で人種問題や刑事司法問題をめぐって自身を激しく攻撃したアフリカ系の最有力候補であるハリス氏を相手に、医療保険制度を持ち出して攻勢をかけたが、他の候補のほとんどからさまざまな論点について集中攻撃を受け、守勢に回る場面もあった。

 支持率で他候補を大きくリードするバイデン氏にとっては、他候補の攻撃をしのいで首位を維持したまま大統領選に臨むことが最優先事項だ。だが、第1回討論会で精彩を欠いたことからバイデン氏は選挙顧問からも、より積極的な言動を求められていた。

 そんなバイデン氏は討論会の開始直前、登壇したハリス氏を握手で迎え、「お手柔らかに頼むよ」と笑顔で告げるという興味深い一手を打ってみせた。

 医療保険制度をめぐっては、バイデン氏は保険の対象を全国民に広げることが不可欠だとの立場で、バラク・オバマ(Barack Obama)前政権時代の2010年に制定された医療保険制度改革法(Affordable Care Act)の拡大計画を発表している。一方、医療保険制度改革(通称オバマケア、Obamacare)を廃止して「国民皆保険制度(メディケア・フォー・オール、Medicare for All)」を導入する案には懐疑的で、コストが30倍かかる非現実的な計画だと批判。単一支払者制度による国民皆保険実現を掲げるバーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員やエリザベス・ウォーレン(Elizabeth Warren)上院議員とは明確に一線を画している。

 なお、討論会では候補者の中で最も左寄りの路線を掲げるビル・デブラシオ(Bill de Blasio)ニューヨーク市長が、「社会構造の改革」の準備は十分できていると述べた上で、「富裕層に徹底的に課税する」と主張する一幕もあった。(c)AFP/Brendan Smialowski, with Michael Mathes in Washington