【7月31日 AFP】オーストラリアのシェイナ・ジャック(Shayna Jack)が第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)を欠場した理由が、ドーピング違反だと大会終了直前に判明したことを受け、薬物検査妨害の疑惑で孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)を激しく批判していたオーストラリアは「完全なる偽善」と中国の国営メディアが反撃している。

 韓国・光州(Gwangju)で行われた世界水泳では、血液検体を金づちで壊すなどの疑惑が報じられた孫に対し、オーストラリアのマック・ホートン(Mack Horton)らが抗議していた。

 そのため中国国営の新華社(Xinhua)通信は、ジャックが検査に失格していたことが判明すると、すぐさまこの話題に飛びつき、英語版サイトでオーストラリア水泳連盟(Swimming Australia)を強く非難。ジャックの欠場理由を「個人的な事情」としていたのは連盟による「隠ぺい」だと主張した。

「ジャックの件でうそをついたことで、マック・ホートンの孫楊に対する表彰式での愚行を支持していた豪水泳連盟は、一切の信用を失った」「豪水泳連盟は正しい手続きにも、クリーンなスポーツの保護にも関心がない」

 ホートンは選手食堂で他選手から拍手で称賛され、英国のダンカン・スコット(Duncan Scott)も同様の抗議を行った。しかし新華社は、ホートンが「一部の人間だけを攻撃」し、相手に一杯食わせることしか考えていない「日和見主義者」だと批判し、「クリーンなスポーツを守っているふりをするのはやめるべきだ。もう誰もだまされない」と述べている。

 同様の意見は中国のSNSでも見られ、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー、Weibo)」には「他人をうそつきだと言う連中自身が、実はうそつきだった」といったメッセージが次々に投稿されている。

 昨年の抜き打ち検査でサンプルを壊すなどの妨害を行ったと報じられた孫だが、FINAは同選手の世界水泳出場を認めた。FINAは、検査員が適切な資格を持っていなかった、あるいは正しい検査の手順を踏まなかったという孫の主張を認めているが、世界反ドーピング機関(WADA)はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てている。(c)AFP