【7月27日 AFP】五輪で3個の金メダルに輝く中国競泳のエース孫楊(Yang Sun、ソン・ヨウ)は、自身をドーピング違反者と批判しているライバルに対し、「自分はアスリート全員のために立ち上がっている!」と反論している。

 国際水泳連盟(FINA)のドーピングパネルの報告書が外部に漏れ、2018年の抜き打ち検査で血液サンプルを金づちで破壊した疑惑が持たれている孫は、韓国・光州(Gwangju)で開催されている第18回世界水泳選手権(18th FINA World Championships)で、一部の選手から拒絶されている。

 FINAは検査官が適切な資格を示さず、正しいプロトコルにも従っていなかったと判断し、孫に大会への出場を許可した。この決定に対して、世界反ドーピング機関(WADA)はスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てを行っている。

 孫が400メートル自由形と200メートル自由形で連覇を果たした際、オーストラリアのマック・ホートン(Mack Horton)と英国のダンカン・スコット(Duncan Scott)は、各レースの表彰式で孫との握手を拒否し、同選手を激高させて波紋を広げた。

 26日の男子4×200メートル自由形リレーで過密日程を締めくくった27歳の孫は、「こうした侮辱を受ける筋合いはない」「だけど、自分は心の広い人間だ。世界には数百万人のアスリートがいて、数人が侮辱しようとも受け入れられる」と語った。

「彼らと口論しても無駄なことで、自分には何の意味もない。FINAはドーピング違反は何もなかったと判断した。自分の行いはアスリート全員の権利と利益を守るものだ」

 世界水泳で通算11度のタイトル獲得を果たしている孫は、昨年9月の深夜に中国・浙江(Zhejiang)省杭州(Hangzhou)市の別荘を訪れた検査官が、適切な資格を持っていなかったとして疑惑の念を募らせた。

 今年9月にCASの審理が控えている孫は、「正しい書類を持っていない検査官が、血液と尿を回収しに家を訪れてきたときのことを想像してくれ」とすると、「彼らが間違った報告をしても、自分には反論の機会が持てない」と訴えた。

「自分の言葉はすべて真実であり、そのことを示す証拠もそろっている。自分はただ、自分自身とそこにいるアスリート全員のために立ち上がっている」 (c)AFP/Alastair HIMMER