【7月21日 AFP】ラグビー南半球4か国対抗戦、ザ・ラグビーチャンピオンシップ(The Rugby Championship 2019)が開幕し、メンバーを落として試合に臨んだ王者ニュージーランドは後半攻め込まれながらも20-16でアルゼンチンに辛勝。一方、こちらも主力を休ませた南アフリカは35-17でオーストラリアを下した。

 オールブラックス(ニュージーランド代表の愛称)は、2週間前にスーパーラグビー(Super Rugby 2019)3連覇を成し遂げたクルセイダーズ(Crusaders、ニュージーランド)のメンバーの多くを温存し、セブ・リース(Sevu Reece)やベンチスタートのアツ・モリ(Atunaisa Moli)、ルーク・ジェーコブソン(Luke Jacobson)、ブレイドン・エナー(Braydon Ennor)が代表デビューを飾った。

 その中で、チームは決定力の高さを見せて前半に20-9と11点のリードを奪ったが、後半はホームの情熱的な大観衆の後押しを受け、ニュージーランド戦初勝利を目指すアルゼンチンの前に無得点。後半早々のトライで4点差に詰め寄られた直後には、1点差に迫られる可能性のあるペナルティーゴールの機会も与えたが、相手がこれをミスしたことにも助けられ、なんとかテストマッチ450勝目をつかんだ。

 それでも、2015年のW杯イングランド大会(Rugby World Cup 2015)優勝にチームを導いているスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)ヘッドコーチ(HC)は、試合におおむね満足した様子で「たくさんの面が見られた試合で、その多くはポジティブな要素だった」と話した。

「きょう出たのは若い選手たちで、彼らはアウェーのプレッシャーが世界屈指の環境に放り込まれ、テストマッチを経験した」「ぎこちない部分もときどきあったが、新しいコンビネーションを試したからという面もある」

 ホームのヨハネスブルクで開幕戦を迎えた南アフリカは、初出場のSHハーシェル・ヤンチース(Herschel Jantjies)が2トライを決め、オーストラリアに35-17で勝利した。

 チームの先制トライと4トライ目を決めたヤンチースは、観客の温かい拍手の中、後半残り14分でお役御免となった。次週行われる敵地でのニュージーランド戦を踏まえ、レギュラーの多くを休ませた南アフリカだが、5トライを決めてボーナスポイントも獲得している。

 また、かつてのアパルトヘイト(人種隔離)時代にはオール白人でチームを構成していた南アフリカだが、この日はヤンチースを含め、先発15人のうち過去最多となる8人を黒人選手が占めた。

 9月20日から始まるW杯日本大会に向けた準備の意味合いも持つ今大会で、好発進を果たした南アフリカだが、その中でもヤンチースのプレーは光っていた。トライ以外にもオールラウンドな活躍を見せたヤンチースについて、元代表のテレビ解説者ジョエル・ストランスキ(Joel Stransky)氏も、「まるで代表の常連のようなプレーで、とてもデビュー戦とは思えない」と称賛した。(c)AFP