■「だらしないマリフアナ常習者」

 こうした選手の喜びとは裏腹に、2016年にスケートボードが東京五輪の追加競技に決定した際には、スケートボード界からは不安の声が多く聞かれた。それは、競技のルーツであるストリート文化が薄れてしまうことを懸念するものだった。

 アルゼンチン出身のマティアス・デル・オリオ(Matias Dell Olio)は、「娯楽のためにやりたいなら、ストリートに出てトリックをやり、ただ楽しんだりビールを飲んだりすればいい。だけど、僕は真剣に取り組みたいんだ」と語った。

「早起きして、ジムで体を動かし、ストレッチをやり、よく食べる。6歳からスケートボードを滑っていて、それが自分のライフスタイルになっている。だけど、これは仕事でもあるんだ」

 ペルーで生まれた19歳のアンジェロ・カロ(Angelo Caro)は、スケートボードが東京五輪で実施されることになったおかげで、国内トップレベルのトレーニングセンターが使えるようになったと明かした。また、こうした状況の変化によって、スケートボーダーに対する固定イメージが取り除かれることを期待しているという。

 体中に傷やあざがあるカロは、「僕らのことをだらしないポットヘッド(マリフアナ常習者)だと思い込んでいる人たちは、このスポーツが才能と努力を必要とする本当に美しいものだと分かってくれるだろう。僕らは毎日転んでけがをしている。本当に身を削っているんだ」と語った。