【7月11日 AFP】韓国籍を離脱して米国市民権を取得したことが兵役逃れとみなされ、韓国入国を禁じられている歌手のユ・スンジュン(Yoo Seung-jun、英語名:スティーヴ・ユー、Steve Yoo)さん(42)をめぐる裁判で、韓国の大法院(最高裁)は11日、ビザ発給拒否は違法との判断を示し、審理をソウルの高等法院(高裁)へ差し戻すよう命じた。

 韓国では18歳以上の健康な男子全員におよそ2年間の兵役義務が課せられ、兵役中は南北軍事境界線沿いの遠隔地に派遣されることも多い。

 1990年代に歌手として人気を誇ったユさんは2002年、招集直前に韓国籍を放棄して米市民権を取得。これにより兵役を免除されたため、韓国国民の間で兵役逃れだとの非難が高まり、ユさんの入国を制限する措置が取られた。

 ユさんは4年前、在米韓国領事館から入国ビザの申請が却下されたため、ビザ発給を求め提訴。ユさんの帰国は兵士らの士気をくじき、若者の兵役逃れを助長しかねないとして一審と二審ではユさん側が敗訴したものの、大法院は11日、入国禁止措置が領事館のビザ発給拒否を正当化する根拠とはならないとし、ソウル高等法院への審理差し戻しを命じた。

 一方、最近の調査によるとユさんへの入国禁止措置を支持する韓国人は7割近くに上る。韓国では有力政治家の息子など、兵役を逃れるため韓国籍を放棄して外国籍を取得する人もいる。(c)AFP