肥満のまん延、遺伝子も関連 主な原因は環境
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【7月5日 AFP】世界における成人の肥満の割合は、1975年と比べ3倍に急増している。主に食生活の変化と運動不足が原因だが、遺伝子も関連しているとする大規模調査の結果が4日、発表された。
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英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)に掲載された研究論文によると、遺伝的に胴回りが太くなりやすい人は、不健康な生活スタイルが体重増加をさらに加速させるという。
肥満の標準的な尺度である体格指数(BMI)は、身長と体重を基準に算出される。BMIが25以上30未満は過体重、30以上は肥満となる。
1970年代中頃は、BIMが30以上の成人は全体の約4%だった。世界保健機関(WHO)によると、この割合は2016年までに13%(男性が11%、女性が15%)に上昇した。
現在、BMIが25以上の人は、18歳以上の成人人口全体の39%に当たる約20億人に上っている。さらに、このうち7億人が医学的肥満(肥満症)とされている。
過体重の子どもの割合は1975年の4%から2016年には18%超と、さらに劇的に上昇している。
肥満に対する環境と遺伝子の相対的影響度を推定するため、ノルウェー科学技術大学(Norwegian University of Science and Technology)のマリア・ブランドクビスト(Maria Brandkvist)氏率いる研究チームは、ノルウェー在住の12万人近くを対象に、1963年から2008年にかけ定期的に身長と体重を測定し、詳細データを調べた。
この結果、1980年代から1990年代にかけ、成人の体重が著しく増加し始めたことが明らかになった。1970年以降生まれの人は、成人期の初期にBMIが大幅に上昇する確率が、それより前の世代に比べてはるかに高かった。
■肥満になりやすい環境
研究では調査対象者の半数を、肥満に対する遺伝的感受性(肥満になりやすい体質かどうか)に応じて5グループに分けた。
研究チームは両極端の2グループを比較することで、例えば35歳の男性同士を比べた場合、体重増加を促進することが知られている遺伝的多様体を持つ人はすでに1960年代半ばから、この遺伝子を持たない人よりも体重が増加する傾向が認められることを発見した。40年後、肥満率は全体的に上昇したにもかかわらず、遺伝子の違いによる体重増加傾向の差は倍近くに広がっていた。
女性も同様の傾向を示したが、その差は男性よりもやや小さかった。
ブランドクビスト氏は、「1960年代の35歳平均身長男性の場合、遺伝的素因がある人はそれが原因で、遺伝的に保護された人より体重が3.9キロ重かった」と説明する。
一方、現在のノルウェーでは、太りやすい遺伝子を持つ35歳平均身長男性は、遺伝子を持たない人よりも6.8キロ以上重くなると考えられるという。現代の環境が「肥満の原因」となっており、生活しているだけでさらに7.1キロ体重が増えるだろう、とブランドクビスト氏は指摘した。
「この男性の体重が今日では(太りやすい遺伝子を持たない人に比べ)13.9キロ重くなるのは、現代の不健康な生活スタイルに主に起因するが、環境とその男性の持つ遺伝子の相互作用にも起因する」 (c)AFP/Marlowe HOOD