【7月2日 AFP】メキシコと米国の国境を流れるリオグランデ(Rio Grande)川から米国を目指して水死した父娘の遺体が6月30日、母国エルサルバドルに帰国した。

 親子の遺体を乗せた車はメキシコからグアテマラを通過し、エルサルバドルの閣僚マリオ・デュラン(Mario Duran)氏が立ち会う中ラアチャドゥーラ(La Hachadura)に到着した。

 オスカル・アルベルト・マルティネス・ラミレス(Oscar Alberto Martinez Ramirez)さん(25)と娘のバレリアちゃん(1歳11か月)がリオグランデ川でうつぶせの状態で亡くなった様子を捉えた衝撃的な写真を受けて、世界中で懸念や怒りが広がった。米国による国境沿いでの移民取り締まりに責任があると非難する声も上がった。

 エルサルバドル移民研究所(Salvadoran Migrant Institute)のセサル・リオス(Cesar Rios)氏はAFPに対し、2人の死は「若者に将来を与えることができる威厳ある人生を保証していない、政策の無能ぶり」を象徴していると語った。

 メキシコを渡って米国を目指す移民の大半は、犯罪組織の暴力で引き裂かれたエルサルバドルなど中米諸国出身。エルサルバドルの首都サンサルバドル近隣に暮らすマルティネスさんとその家族は、貧困と犯罪組織による容赦ない暴力から逃れてメキシコで人道ビザを取得し、大勢の移民同様、米国での難民申請手続きを待つ予定だった。

 マルティネスさんとバレリアちゃんは先月23日、川を渡り米テキサス州ブラウンズビル(Brownsville)近くにまでたどり着こうとした際に溺死。妻のタニア・バネッサ・アバロス(Tania Vanessa Avalos)さんは、どうすることもできず河岸からその様子を見ていたという。アバロスさんは先週サンサルバドルに戻った。マルティネスさんとバレリアちゃんの遺体は後日埋葬される見通しだ。(c)AFP