【6月29日 東方新報】国際オリンピック委員会(IOC)は24日、最高位のスポンサー制度「TOP」の共同協賛企業として、「コカ・コーラ(Coca-Cola)」と中国大手乳製品メーカー「蒙牛乳業(China Mengniu Dairy)」と契約した。カテゴリーは「ノンアルコール飲料・乳製品」で、契約期間は2021~32年。両社の契約額は公開されていないが、関係者によると総額30億ドル(3200億円余り)に上る見込みで、スポーツ史上最大級のスポンサー契約になる。

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 IOCはこれまで、トヨタ自動車(Toyota Motor)、インテル(Intel)、サムスン電子(Samsung Electronics)など世界の13社とTOP契約を結んでおり、スポンサー企業は自社製品と五輪を絡めた独占的商業活動を行うことができる。

 TOP契約は原則として1業種1社に限られ、IOCはこれまでノンアルコール飲料部門のスポンサーとしてコカ・コーラと契約してきたが、今回はこの部門に「乳製品」の枠を加えて蒙牛と契約した。

 IOC前マーケティング責任者のマイケル・ペイン氏は「TOP契約が始まった当初は米国企業が多かったが、IOCは米国、欧州、アジアのリーダー企業とバランスが良い契約を結んでいる」と評価している。

 蒙牛はライバル企業・伊利(Yili Industrial Group)と共に中国国内の乳製品市場を二分してきた。しかし、2008年に中国で粉ミルクに有害物質が含まれている問題が発覚し、ネスレなど海外企業に中国市場への進出を許した。また、中国の出生率は低下傾向にあり、国内市場だけでは頭打ち。その状況を打破するため海外進出を進めてきており、蒙牛の盧敏放(Lu Minfang)最高経営責任者(CEO)は「この歴史的な契約は、私たちの世界戦略を推し進め、一貫して堅持してきた品質と安全のイメージを広げることに大きな助けとなるだろう」と語った。

 だが、これに対し、ライバル企業の伊利は「蒙牛はコカ・コーラとの契約を通じて、オリンピックで不当な利益を得ようとしている。これは五輪史上最大のスキャンダルだ」とする声明を発表した。伊利は2017年8月、北京五輪組織委員会(BOCOG)と2022年北京冬季五輪で唯一の乳製品サプライヤーになる契約を結んだと発表している。

 声明では「蒙牛は北京冬期五輪の公開競争入札で敗れている。にもかかわらず、IOCと契約を通じ、自らが五輪の乳製品部門のスポンサーであると中国の消費者に誤認させようとしている。五輪の公平、公正、平等の原則に反し、北京冬期五輪パートナーの正当な権益を侵犯している」と批判している。

 世界の超大国・米国と中国の貿易摩擦が連日ニュースで取り上げられる中、五輪という世界最高のスポーツの舞台で両国の大企業が手を結んだ。その一方で、成長する中国企業同士が国際的な舞台で争うことになった。(c)東方新報/AFPBB News