■改革派首相に新たな打撃

 アビー氏は2年にわたって政情不安が続いた後の2018年4月に首相就任。それ以来、過去の首相たちによる強権的な支配を終わらせたと称賛されてきた。

 アビー氏は経済改革に着手し、反体制派の帰国を認め、人権侵害の取り締まりを目指し、軍や情報部の幹部数十人を逮捕した。さらに、長年にわたり対立してきた隣国エリトリアとの平和宣言にも調印した。

 しかし1億人以上の人口を抱える多民族国家エチオピアでは、主に土地や資源をめぐって民族間の対立が深まっており、死者を伴う衝突も発生。アビー首相はこうした問題に苦慮している。

 民族間の衝突で、これまでに100万人以上が家を追われた。専門家は衝突の原因について、かつて全権力を握っていた与党エチオピア人民革命民主戦線(EPRDF)の弱体化や、政権移行によって生じたチャンスを利用しようとするさまざまなグループの存在などを挙げている。

 昨年6月には、アビー首相が演説した政治集会で手りゅう弾が爆発し、2人が死亡する事件も起きた。エチオピアの安定化と改革を目指すアビー首相にとって、今回のクーデター未遂は新たな打撃となった。(c)AFP