我々がメディアを通して受け取る紛争地域の情報は、悲惨さや緊迫感を強調した報道が多い。確かにそういった姿勢はある面では必要だが、紛争当事者の彼・彼女らの日常が必ずしもそうだとは限らない。むしろ彼・彼女らにとっての平穏な日常があり、それが壊されることで、緊迫した状態になったと言えるのだ。この写真は、そんな彼・彼女らの日常と非日常を同時に見せてくれる。シリアの数々の武力衝突によるものであろう瓦礫の山を背景に、大人たちがパペット劇を開いている。それに見入る年端もいかない子供達の背中は、我々の想像力を掻き立てる。幼い子供達にとって、瓦礫の上でのパペット劇は、いつもと変わらぬ「日常」なのか。もしくは、変わりきってしまった「非日常」の中での間に合わせなのか。どちらにしても様々な感情が沸き上がってくる一枚だ。(ペンネーム:フリードリヒ)

成蹊大学 紛争セクション