【10月30日 CNS】中国・安徽省(Anhui)桐城市(Tongcheng)大関鎮(Daguan)台庄村(Taizhuang)に住む余国雲(Yu Guoyun)さんは、子どもの借金を返済する約束を守るため、5年間におよぶ出稼ぎ生活を続けた。そんな余さんに対し、同市は2019年3月に「人徳のある好人物」として表彰した。

 早くから出稼ぎをし、家を空けていた余さんだったが、2003年に妻が亡くなった後、故郷に戻り、息子が管理する家の手伝いをしていた。しかし、2012年8月、余さんの息子が突発性のリンパ腫にかかり、病院を転々とした。80万元(約1230万円)以上の医療費を支払ったが、息子は治療の甲斐なく翌年この世を去った。

 余さんは当時、自宅以外のお金に見合うものはすべて売却し、親戚からの援助も受け、村の40以上の世帯から38万元(約585万円)を借りた。そのときの借金の額はノートに細かく記録している。

 息子の生前時、余さんは「安心しろ、父さんにはまだ働く力がある。私が出稼ぎして借金を返済する。孫の成長に影響が出ることもない」と話したという。その約束を果たすため、余さんは断固とした決意で、出稼ぎで得た金を借金返済に当てた。

 建設現場の現場代理人や鉄筋工、鳶(とび)工など、5年で多くの場所を転々とした。節約のために食費を切り詰め、新しい服など買ったこともない。そしてより多くの残業代を稼ぐため、旧正月は4年ほど故郷には戻らなかった。

 余さんの白髪が増えていくにつれ、ノートに書いた借金も徐々に少なくなっていく。現在は借金をすべて清算し、ようやく大きな圧力から解放された。

 余さんは「お金を借りた親戚らもみな苦労してお金を稼いでいる。お金を返さなければ彼らだって困るだろう」と語った。(c)CNS/JCM/AFPBB News