■大手も続々参入

 食品大手ではスイスのネスレ(Nestle)が4月、欧州で大豆、小麦、ビートルートなど植物の抽出物を主原料とした「インクレディブル・バーガー(Incredible Burger)」の販売を開始した。同社は今秋には米国で、エンドウマメを主原料としたベジタリアン向けバーガー「スイートアース(Sweet Earth)」の発売を計画している。

 欧州食品・日用品大手ユニリーバ(Unilever)も昨年、植物性肉専門ブランド「ベジタリアンブッチャー(Vegetarian Butcher)」を立ち上げた。同社は「世界一の植物性肉ブランド」を目指すとしている。

 米食品大手ケロッグ(Kellogg)はベジタリアン食品部門「モーニングスターファーム(MorningStar Farms)」を通じて、1970年代から代替肉市場で存在感を発揮している。

 急成長する業界で積極的に事業展開している企業にはこの他、自国でベジタリアン・バーガーを立ち上げたブラジル食品大手JBSや、ビヨンド・ミートに出資したことがあり、現在は自社で植物性肉製品の販売を計画している米タイソン・フーズ(Tyson Foods)などがある。

 動物性食品の代替製品を推進する「グッド・フード・インスティテュート(Good Food Institute)」によると、2018年の代替肉の販売額は前年比23%増と急成長している。だが、食肉市場全体ではまだ1%にすぎず、ミルク市場の13%を大豆やアーモンド、ココナツなどを原料とした非乳製品が占めることに比べればまだまだ及ばない。

■投資家らが警告するリスク

 代替肉市場は大きな潜在性を秘めているが、アナリストらは業界が直面している不確定要素を見失ってはいけないと警告している。

「リスク要因はいくつかある。例えば、消費者の舌にアピールするために添加物を使用している製品は結果的に、うたっているよりも健康的ではなかったりする」とバークレイズは指摘している。

 バークレイズがもう一つ指摘しているのは、マーケティングに関して「規制による制約を受ける可能性」だ。例えば、米国では畜産業団体が、「肉」という単語の使用を動物性食品に限定するよう政治家らに働き掛けている。

 また、JPモルガンは、新興企業には常にリコールによって混乱が生じるリスクがあると警告している。より大きな企業、多様な企業がこぞって市場に参入し、存在感が増すことにより、そうした過誤が起こった場合の影響が増幅される可能性があるという。(c)AFP/Juliette MICHEL