【6月7日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が、メキシコ製品への関税発動を表明している問題で、両国間で協議が続く中、メキシコ側は6日、中米から米国への不法移民流入に歯止めをかけるための複数の対策を打ち出し、関税回避に奔走した。

 メキシコ市は米側の要求を満たす狙いで、同国南部の対グアテマラ国境に国家警備隊員6000人を配備する方針を発表。さらに、数百人の移民集団(キャラバン)を阻止し、移民の米国への不法入国を支援した疑いのある者らの銀行口座の凍結も行った。

 一方米首都ワシントンでは、両国の交渉担当者らが2日目となる協議に臨んだものの、亡命申請手続きや大半の移民の出身地である中米諸国への経済支援など、複数の争点で合意を模索する状況が続いた。

 先月には、米国とメキシコの国境沿いで身柄を拘束された移民の数が、過去13年で最多の14万4000人に上った。トランプ政権は、10日以降メキシコからの全輸入品に5%の関税を課す方針を表明。実際に発動されれば、輸出に依存するメキシコ経済にとっては大打撃となりかねない。

 トランプ大統領が先週この方針を示した際には、メキシコが米国への移民流入を阻止できなければ、関税率を毎月5ポイントずつ増やし、最高25%まで引き上げると述べていた。

 トランプ氏は、第2次世界大戦(World War II)中のノルマンディー上陸作戦開始日「Dデー(D-Day)」から75年の記念式典に出席するために訪問したフランスで報道陣に対し、メキシコ側は「積極的に取り組む必要があるし、恐らく取り組んでくれるだろう」「われわれは関税を発動するとメキシコに伝えたし、私は本気だ」と述べた。

 米紙ワシントン・ポスト(Washington Post)の報道によると、関税回避につながる方策として、グアテマラを通過してメキシコを経由し米国に到達したホンジュラスとエルサルバドルからの移民を、グアテマラに送還することを認める案などが挙がっているという。(c)AFP/Alina DIESTE