【6月5日 AFP】国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は4日、国連の深刻な財政難に対処するため、米ニューヨークの高級住宅街にある公邸の売却を一時検討していたと国連の予算委員会で明らかにした。

 2017年1月に国連事務総長に就任したグテレス氏は、国連の平和維持活動に充てられる予算の不足分15億ドル(約1600億円)、さらに加盟国の分担金不払いによる通常予算の赤字4億9200万ドル(約530億円)に対応するため、公邸の売却が可能かどうか調べたという。

 事務総長公邸はニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)の高級住宅街サットン(Sutton)地区にある庭付き4階建ての建物。イーストリバー(East River)に面し、数千万ドルの価値があると推定されている。

 しかし、国連本部受け入れ国である米国との協定により事務総長には公邸を売却する権利がないとすぐに判明したという。

 グテレス氏は国連の財政状態を「危機的」と指摘しており、たとえ全加盟国が期日通りに全額分担金を支払ったとしても、国連は年内に資金難に陥る見通しだという。

 こうした財源不足に対処するため、グテレス氏は2億5000万ドル(約270億円)規模の平和維持活動向け基金を創設することを求めているほか、管理を簡易化するためにすべての任務の予算を一元管理することを提案している。

 グテレス氏は「このような厳しい財政状況では組織は効果的な活動が行えない」と指摘し、流動性向上に取り組むよう訴えた。(c)AFP