【6月1日 AFP】中国南部・広東(Guangdong)省東莞(Dongguan)市にある中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ、Huawei)の新キャンパスには、ベルサイユ宮殿(Chateau de Versailles)を再現した建物や、中世風の小塔、尖塔(せんとう)が立ち並ぶ。この少々奇抜なウォルト・ディズニー(Walt Disney)風キャンパスは、増大するファーウェイの財力、そして同社が国の援助から得る恩恵を示している。

 キャンパスは複数のゾーンに分かれており、それぞれが欧州の都市を再現している。従業員は、1周20分をかけてキャンパスを回る真っ赤な電車に乗り、イタリアのボローニャ(Bologna)とベローナ(Verona)、独ハイデルベルク(Heidelberg)、仏ベルサイユ(Versailles)の各ゾーンを行き来する。

 新キャンパスは、ファーウェイなどの戦略的ハイテク企業の誘致・支援を目指す地元当局が格安で売却した土地に建てられた。政府によるこうした太っ腹な援助は、中国の産業政策に対する米国の反感を買ってきた。世界1位・2位の経済大国である米中間で長引く貿易交渉では、両国が助成金の問題をめぐり意見を対立させている。

 ファーウェイの年次報告書や公的記録によると、同社はここ10年で110億元(約1700億円)の助成金や、忠実な従業員のための社宅などの施設を建設するための土地の値引きといった優遇措置を受けている。中国政府はさらに、優秀なエンジニアに対する賞与や、外国顧客のファーウェイ製品購入資金として多額の融資も提供している。(c)AFP