【5月21日 AFP】台頭する中国を抑える最善の策は敵対すること──米国はますますそうみなすようになっており、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ、Huawei)と米国企業の取引を原則禁止する措置を発表し、中国へさらなる一斉射撃を行っている。

 世界的な反ファーウェイキャンペーンを強烈に推し進めているトランプ政権は先週、ファーウェイに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表し、同社を念頭に安全保障上の脅威がある外国企業から米企業が通信機器などを調達することを禁じる大統領令にも署名した。

 20日になって制裁措置の一部を90日間猶予すると発表したものの、かねて米国は中国政府との緊密な関係を理由として、ファーウェイが全世界を席巻していることは安全保障上も個人のプライバシー保護の観点からも脅威であると警告してきた。

 一方、ファーウェイは自由な競争を求めているだけだとし、米国の主張を否定している。

 しかし、米国の懸念はファーウェイをはるかに超えたところにまで及んでいる。また分断された米政界において、中国批判は共和・民主両党を結束させるまれな要因ともなっている。

 米国は自国の技術を中国が広範囲にわたって盗んでいると非難しているほか、強引な貸し付けで発展途上国を債務のわなに陥れているとして習近平(Xi Jinping)国家主席が押し進める「一帯一路(Belt and Road)」構想を強く批判している。

 米政府はさらに、南シナ海(South China Sea)におけるものや台湾に対するものを含め中国が軍事的影響力を強めていると懸念を示すとともに、またトランプ政権としては珍しく人権問題を問題視し、中国が新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)で行っているイスラム教徒の集団拘束についても直接的に非難している。

 米戦略国際問題研究所(CSIS)のジョナサン・ヒルマン(Jonathan Hillman)上級研究員は、豊かになれば中国はもっと従順なパートナーになるという長年の希望を米国の政治家たちはあきらめてしまったと語る。

 またヒルマン氏は「ごく簡単に言えば、中国はわが国のようにはなっていない」と指摘。さらに「中国は国家による支配を維持しつつ、部分的に自国に都合がいいようなグローバリゼーションを採用してきた」と述べ、あらゆる面でさらなる長期的な争いになるとの認識を示した。