【5月25日 AFP】(更新)ベネズエラ西部アカリグア(Acarigua)にある留置場で24日、警察の特殊部隊FAESと被収容者らが衝突し、少なくとも被収容者29人が死亡、警官19人が負傷した。当局者が明らかにした。

 ポルトゥゲサ(Portuguesa)州の公安当局幹部は報道陣に対し、衝突はFAESが被収容者の「大規模な脱走」を阻止しようとした際に発生し、その結果、被収容者29人が死亡したと発表。また、被収容者らは警官らに発砲したほか、手りゅう弾を3発爆発させ、警官19人が負傷したと述べた。

 一方、受刑者らの人権を保護する非政府組織(NGO)「ウナ・ベンタナ・ア・ラ・リベルタド(Una Ventana a la LibertadUVAL)」の代表はAFPに対し、23日に被収容者らのリーダーによって人質に取られた訪問者らを救出するため、当局が24日朝、FAESを留置場に派遣した際に衝突が起きたとし、「被収容者らは武器を持っており、警官に向かって発砲した。手りゅう弾も爆発させたとみられている」と述べた。UVALは当初、死者は25人と報告していた。

 警察内部の捜査報告書によると、被収容者のリーダーもこの衝突で死亡。刑務所省はこの事件に関し、警察の留置施設は管轄外であるとしてコメントを出していない。

 NGOのUVALによると、最大勾留時間が48時間とされるこうした留置場では暴力事件が問題となっている。国内にある約500か所の留置場の定員は全体で8000人であるにもかかわらず、現在5万5000人が収容されている。警察の報告書によると、事件のあったアカリグアの留置場は、収容可能人数が60人なのに対し、当時500人が収容されていた。

 ベネズエラの留置場では2011年以降、400人以上が死亡したとされており、人権団体は、国民の大半と同じく、経済危機の影響でこうした施設内でも食糧や医薬品不足が起き、職員らの汚職もまん延していると訴えている。(c)AFP/Alexander MARTINEZ