■元敵国から差し伸べられた手

 ハルボーセンさんは今月、ベルリン封鎖の解除から70年を機に開催された、空輸作戦をたたえる記念式典に出席。会場が設けられたベルリンの旧テンペルホーフ空港(Tempelhof Airport)を再び訪れた。

 空軍服を着たハルボーセンさんは、歓声を上げる聴衆を前に「ベルリンは私の第2の故郷です」と述べ、青空を見上げながら「今日は晴れ上がっていますが、空輸作戦を行っていた当時はたいてい天気が良くなかった」と振り返った。

 式典でドイツのウルズラ・フォンデアライエン(Ursula von der Leyen)国防相は空輸作戦について、「戦時中に敵だった国々が、ドイツに手を差し伸べてくれた」と述べ、ドイツの戦後民主主義を支えたのは「独裁権力に対する抵抗」と「信頼構築のための行動」だったと語った。

 冷戦(Cold War)の緊張の最中、パイロットたちは第2次世界大戦からいまだ復興途上にあった西ベルリンの市民250万人に対し、輸送機から生活物資を投下した。

 テンペルホーフ空港を主な拠点に、厳寒の冬の間も輸送はほぼ絶え間なく行われ、計27万7000回を超える飛行によって200万トン以上の生活物資が市民に届けられた。

 その間、米英独軍のパイロット少なくとも78人が、上空や地上での事故により命を落とした。それは、冷戦時における初の大規模な作戦だった。