【5月13日 AFP】2008年の交通事故で脳に重度の損傷を負って以来四肢まひとなり、フランスの病院で植物状態にあるバンサン・ランベール(Vincent Lambert)さん(42)の担当医が、ランベールさんの生命維持装置を近く外す決断をし、家族に通知した。弁護士が11日、明らかにした。

 ランベールさんの両親は延命治療のため法廷闘争を続けているが、両親の弁護士がAFPに語ったところによると、両親は担当医から20日の週にランベールさんの生命維持装置を外すと告げられたという。

 担当医はランベールさんの脳の損傷に回復の見込みはないとして生命維持装置を外すことを決めた。今年になってから、フランスの裁判所がこの決定を認め、最高行政裁判所である国務院も先月、この決定を支持する判断を下していた。

 ランベールさんをめぐっては、延命か安楽死かで家族が分裂し、法廷で争う事態となっている。

 2014年、ランベールさんの妻ラシェルさん、ランベールさんのきょうだいのうち5人とおいのフランソワさんの支持を受けた医師らは、「消極的安楽死」法に基づき、水分補給や栄養の静脈投与を停止することを決定。しかし、敬虔(けいけん)なカトリック教徒である両親やほかのきょうだいらは、ランベールさんには回復の可能性もあると主張し、一貫してこの決定に反対している。

 こうした事態を受け、国連(UN)の「障害者の権利委員会(Committee on the Rights of Persons with Disabilities)」は先週、フランス政府に対し、ランベールさんの延命に関して、その法的問題を調査している間はいかなる決定も行わないよう求めていた。これに対し、アニエス・ビュザン(Agnes Buzyn)保健相は、フランスは障害者権利委の要請に応じる用意はあるとした上で、その要求に法的拘束力はないと述べている。(c)AFP/Zoé LEROY