欧州人権裁、植物状態の男性の「死ぬ権利」認める
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【6月5日 AFP】欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)は5日、植物状態にある男性の生命維持中止を認めた仏裁判所の判決を支持する判断を下した。今後の欧州における指針となりうる判決だ。
欧州人権裁判所は判決で、2008年の交通事故で脳に重度の損傷を受け、四肢麻痺となったバンサン・ランベール(Vincent Lambert)さんに対する栄養の静脈投与の停止が、欧州人権条約(European Convention on Human Rights)に違反していないと判断した。
妻によると、ランベールさんは以前から、延命治療によって生かされ続けたくはないと話していた。担当医は2014年1月、「消極的安楽死」を認めるフランスの法律と、妻ときょうだい8人のうち6人の同意に基づき、栄養の静脈投与を停止することを決定。だが敬虔(けいけん)なカトリック教徒の両親ときょうだい2人は、生命維持の継続を求めて訴訟を起こした。
一審では生命維持停止を認めない判断が下されたが、フランスの最高行政裁判所である国務院は昨年6月、回復の見込みが全くない患者の治療を中止することは合法との判断を言い渡した。ランベールさんの両親はこれを受け、欧州人権裁判所に訴えを起こしていた。(c)AFP