【5月5日 AFP】富豪の米著名投資家ウォーレン・バフェット(Warren Buffett)氏(88)は4日、自身が経営する米投資・保険大手バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)の後継者問題について、暗にほのめかしたものの、手の内のすべては明らかにしなかった。

 バフェット氏は株主総会の質疑応答で、後継者問題についての質問攻めに遭い、回答する度に割れんばかりの拍手を受けた。この質問に直接答えることはなかったが、いずれも昨年取締役に昇格したグレゴリー・アベル(Gregory Abel)氏(57)とアジット・ジェイン(Ajit Jain)氏(67)が近い将来、自身と長年のビジネスパートナーのチャーリー・マンガー(Charlie Munger)氏(95)と力を合わせていくことになるだろうと述べた。

「オマハの賢人(Oracle of Omaha)」の異名でも知られるバフェット氏は、「グレッグとアジットの2人ほど優れた業務マネジャーはいない。彼らのこれまでの業績は素晴らしいとしか言いようがない」と述べた。

 バフェット氏とマンガー氏は数十年にわたってバークシャー・ハサウェイの中心人物だったが、4日の株主総会では、ジェイン氏が株主の質問に答えた。ただしステージ上からではなく、客席側からだった。

 アベル氏は1992年にバークシャー・ハサウェイのエネルギー部門に加入。同社の非保険事業の一切を取り仕切るようになってから1年以上になる。ジェイン氏は1986年にバークシャー・ハサウェイの保険部門に加入。現在は保険事業を取り仕切っている。

 2人のどちらが優位に立っているのだろうか、それとも共同で同社のかじをとることになるのだろうか?

 マンガー氏は、「こうした質問攻めに遭う理由の一つは、バークシャーが非常に特殊であるということが挙げられる。わが社は他社と異なり、官僚主義的ではないやり方で意思決定をしている」「このやり方はうまく機能してきたので、他社のようになろうとは思わない。だから(株主の)みなさんにはこれからも辛抱していただくことになると思う」と語った。

 バークシャー・ハサウェイの株式は、バフェット氏がトップに立っているおかげで本来の株価より10~15%高くなっているとみられており、バフェット氏が退任することになれば、同社の新時代が始まることになるだろう。しかし一部のアナリストからは、バフェット氏が退任した場合、バークシャー・ハサウェイは複数の会社に分裂する恐れもあるとの見方も出ている。(c)AFP/Luc OLINGA