【5月1日 AFP】世界反ドーピング機関(WADA)は30日、ロシア国内でドーピング検査を実施していたモスクワの研究所から、再分析の対象となるサンプル2262件を回収したと発表した。

【図解】ロシアのドーピングの実態、薬物違反隠ぺいの手口

 それぞれA検体とB検体に分かれており、回収された容器は合計4524本。今後はロシア国外にあるWADAの公認研究所で再検査が行われるという。WADAは1月に同研究所から膨大な分析データを入手したが、今回はそれに対応する実サンプルを回収した。

 回収作業の責任者であるギュンター・ヤンガー(Gunter Younger)氏は「複雑で困難な事例だが、前進を続けることができている」と喜び、「今回のサンプルを活用して、違反を犯した選手は誰か、逆に反ドーピングのルールを犯しておらず、処分対象から外すべき選手は誰かを判断するさらなる根拠を見つけたい」と話した。

 WADAは2018年9月、ロシアの資格停止処分を解除して世界中の選手や団体から猛烈な批判を浴びたが、研究所がデータとサンプルを全面的に提出することが重要な解除条件だった。今後WADAは6月30日までに再分析を終えることを目指していく。

 ロシアについては、2012年のロンドン五輪から2013年の世界陸上モスクワ大会(14th IAAF World Championships in Athletics Moscow)、そして2014年のソチ冬季五輪の期間にかけて、国家ぐるみのドーピング違反を犯していたことが明らかになり、ロシア反ドーピング機関(RUSADA)が2015年11月に資格を停止されていた。(c)AFP