【4月29日 AFP】28日に行われた18-19イングランド・チャンピオンシップリーグ(2部)第45節のリーズ・ユナイテッド(Leeds United)対アストン・ビラ(Aston Villa)戦で、リーズのマルセロ・ビエルサ(Marcelo Bielsa)監督が相手の得点を邪魔しないよう選手に指示を出すという驚きの出来事が起こった。この結果チームは1-1で引き分け、プレミアリーグへの自動昇格を逃すことが決定している。

 リーズはマテウシュ・クリヒ(Mateusz Klich)のゴールで先制したものの、相手の選手が負傷して倒れているのを無視してリーズ側がプレーを続けていたため、ゴール後には両チームの間でベンチメンバーも巻き込んだ乱闘が起こり、アストン・ビラのアシスタントコーチを務めるジョン・テリー(John Terry)氏もビエルサ監督に抗議していた。

 するとビエルサ監督は試合再開直後、選手たちに動かないよう指示。アストン・ビラのアルバート・アドマー(Albert Adomah)がキックオフからそのままゴールを決めた。その後得点は動かず、引き分けたリーズは残り1節で2位シェフィールド・ユナイテッド(Sheffield United)との勝ち点差が5に広がり、シェフィールドのプレミア昇格が確定した。

 この場面について、ビエルサ監督は「皆さんが目にしたこと、それが事実だ」「事の経緯はあの通りで、われわれはあの通りに振る舞った。非常に明白な出来事に対して、私が言えるのはそれだけだ」とコメントした。

 その後、アストン・ビラに得点を与えたのはフェアプレーの精神からだったのか、それとも一触即発の雰囲気を鎮めるためだったのかと問われると、監督は「私には二つの違いが分からない。皆さんにとってはフェアプレーとあの状況は違うようだが、私にとっては同じことだ」と答えている。

 とはいえビエルサ監督は、シーズン中盤にはテリー氏の選手時代の同僚、フランク・ランパード(Frank Lampard)監督が率いるダービー・カウンティ(Derby County)の練習施設を「スパイ」していたという、フェアプレー精神が疑われる行動も発覚している。

 それでも、得点を与えることに葛藤はなかったかと問われた監督は「イングランドサッカーはプレーの気高さで世界に知られているからね」と返答した。(c)AFP