【4月27日 AFP】欧州サッカー連盟(UEFA)は26日、ファンによる人種差別行為があったとして、モンテネグロに無観客試合の処分を下した。イングランド代表DFのダニー・ローズ(Danny Rose)はこの日、モンテネグロに対する処分が無観客1試合に加え罰金で終わったことに「ショックを受けた」とし、制裁は「十分に厳しいものではない」と不満を訴えた。

 UEFAはモンテネグロに対し、欧州選手権(UEFA Euro 2020)予選の次のホームゲームを無観客で行うよう命じた。同国のサポーターは、イングランドが5-1で勝利した3月のポドゴリツァでの試合で、ラヒーム・スターリング(Raheem Sterling)、ローズ、カラム・ハドソン・オドイ(Callum Hudson-Odoi)に対し人種差別行為をした。

 この試合で5点目を決めたスターリングは、イングランドの黒人選手に対してモンキーチャント(猿の鳴きまね)を浴びせたサポーターに向け、両手に耳をかぶせるセレブレーションを見せた。

 ローズは英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に対し、「たった1試合の無観客と罰金2万ユーロ(約250万円)では今後の教訓として不十分だと思う。少なからずショックを受けているが、自分に今できることはほとんどない」とコメントしている。

「二度とあそこでプレーすることがないよう願うだけだ。恥ずべきことだし、それが今の僕らの立ち位置だ。その中でなんとかやっていくしかないよ」「あんなところに戻りたくないけれど、もちろんそこで試合をしなければならないのであればプレーする。自分の旅先のリストには載っていないけれどね」

 イングランドサッカー協会(FA)はUEFAのモンテネグロへの処分を歓迎しており、これが「サッカーとより広い社会において人種差別に居場所はないというメッセージ」になるよう願っているとした。

 この処分により、モンテネグロは6月7日のコソボ戦を無観客で行うことになる。UEFAはまた、発煙筒の使用、ピッチへのものの投げ入れ、階段の封鎖など観客の妨害行為により2万ユーロの罰金を同国に科した。

 イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー(Tottenham Hotspur)に所属する左SBのローズは今月上旬、人種差別行為に取り組む毅然(きぜん)とした対応が欠けているとして、「サッカーをやめる日が楽しみでならない」と発言している。(c)AFP