【4月30日 CNS】中国A株上場の宅配業大手4社の2018年の年次業績報告書が出そろった。「順豊控股(SF Holding)」「圓通速逓(YTO Express Group)」「申通快逓(STO Express)」と「韻達股份(YUNDA Holding)」の4社は、2018年度の純利益がそれぞれ45億5600万元(約760億円)、19億400万元(約318億円)、20億4900万元(約342億円)、26億6000万元(約444億円)で、前年同期比成長率はそれぞれ-4.57%、31.97%、37.73%和67.34%だった。マイナス成長となった順豊以外は、3社はいずれも2桁の成長を見せている。注意すべきは、4社の中で、売上高の成長率が最も低いのも順豊である点だ。

 順豊が2017年2月に上場した後、純利益が減少したのは今回が初めてだ。

 同社の時価総額は、この2年間で52%が消えてしまっている。「順豊控股」の株価は2017年3月1日がピークで73.01元(約1218円)に達し、時価総額は3226億元(約5兆3790億円)だったが、2019年4月18日の終値は34.77元(約580円)、時価総額1536億元(約2兆5611億円)となり、2年間で時価総額は1690億元(約2兆8179億円)が消えてしまった計算となる。

 純利益が減少した原因について順豊は、「2018年に新業務への先行投資を行ったことにより、コストの増加が売上高の増加をやや上回ったため。輸送面では新業務への輸送能力増強のための投資を行い、人件費の面では新業務対応のための人員の追加投入を行い、用地・賃料の面では新業務に向けて用地を追加で借りた」と説明している。

 中国物流学会(China Society of Logistics)の楊達卿(Yang Daqing)特約研究員は取材に対し、「宅配業の競争は伝統的な労働集約型の業態から、インターネット経済の時代に変わってきている。『ヒト、車、スペース』のすべてを直接運営するビジネスモデルは、順豊にとって大きな負担になっている」と指摘している。

 証券会社の「申万宏源(Shenwan Hongyuan Securities)」アナリストの閻海(Yan Hai)氏は、「高い先行投資が順豊の短期的業績を引き下げた。粗利率を見ると、2018年は17.92%で、2017年に比べ2.15ポイント下降した。粗利率が下降した主な原因は、新業務に対する投資スピードが速く、輸送費と人件費と用地賃料の増加率が売上高の増加率より大きかったため」と分析している。(c)CNS/JCM/AFPBB News