【4月22日 AFP】かつての若者はさまざまな曲をカセットテープに詰め込み、お手製ミックステープを作ったものだが、そのカセットテープの人気がA面、B面を懐かしく思うオーディオ好きの間で復活している。

 米歌手アリアナ・グランデ(Ariana Grande)やカナダ人歌手ジャスティン・ビーバー(Justin Bieber)といったトップミュージシャンが自らの楽曲をカセットテープでリリースしており、需要は増え続けている。だが、ニッチな市場のため、世界的に音楽用磁気テープの供給不足に直面している。

 現在、米中西部とフランス西部にある2社が、カセットテープの製造を手掛けている。

 スティーブ・ステップ(Steve Stepp)氏は50年前、米ミズーリ州スプリングフィールド(Springfield)で父親と共にナショナル・オーディオ・カンパニー(National Audio Company)を創設した。ステップ氏は「事業は良好だ。仕事はたくさんある」と語る。

 ステップ氏によると、同社は2000年頃「CD帝国の覇権」により打撃を受けたが、人気を保っていたカセットブックの製造で生き残ったという。

 ストリーミングが天文学的に増加する中、パール・ジャム(Pearl Jam)やスマッシング・パンプキンズ(The Smashing Pumpkins)などのロックバンドが2000年代半ばに記念テープを制作し、カセットテープは復活し始めた。

 ナショナル・オーディオ・カンパニーは数年前、音楽用磁気テープの製造を中止した韓国企業から、30万本の磁気テープを買い取った。その在庫が底をつき始めた2016年11月、磁気テープを製造するか、廃業するかという二つの選択肢を迫られた。

 ステップ氏は数百万ドルを投じ、廃業していた製造工場から古い機械を買い取った。昨年は音楽用カセットテープ1800万本を製造し、世界中のレコード会社3500社に販売したとステップ氏は話す。「メディアは(カセットテープの)死を誇張し過ぎている」