【4月21日 AFP】五輪や世界陸上(IAAF World Championships in Athletics)の男子1500メートルで金メダルを獲得した後、薬物違反で暫定的な処分を科されていたアスベル・キプロプ(Asbel Kiprop、ケニア)に対して20日、正式に4年間の出場停止処分が下された。キプロプ側は自らの名誉を守るために今後も闘うと話している。

【図解】世界反ドーピング機関が発表している禁止薬物と摂取方法

 キプロプは2017年の抜き打ち検査で持久力を向上させる禁止薬物のエリスロポエチン(EPO)が検出され、2018年は暫定的な出場停止処分を科されていたが、陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」がこの日、「違反があったと十分に信じられる」として4年間の出場停止を宣告した。

 AIUによれば、キプロプの代理人は聴聞会で「EPOは高地での激しい運動で自然に生成される」ことや、治療行為を通じても生成されること、あるいは検査や分析の手違いやサンプルに薬物の混入した可能性を挙げ、陽性になった「原因について、さまざまなタイミングや形式で多くの解釈を示して」処分の取り消しを訴えたという。

 しかし、キプロプ側が「粘り強く、魅力的なかたちで」続けた主張に対して、国際陸上競技連盟(IAAF)の代表者ロス・ベンツェル(Ross Wenzel)氏は「よく吟味すると妥当なものは一つもない」と判断し、3人から成る委員会もこれに同意した。高地トレーニングはEPO検出の説明にならず、他の説についても証拠は提出されなかったと結論づけた。

 処分はさかのぼって2018年2月から適用され、このまま受け入れればキプロプの輝かしい陸上キャリアは事実上の終了となるが、まだスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てることはでき、本人も潔白を主張し続けると話している。

 キプロプはAFPに対して「今回の判断は自分にとって痛手というだけでなく、陸上界全体のためにもならない」と話した。

「以前から強調している通り、自分はドーピングはやっていない。今回の処分でこれから走る資格を失うとしても、潔白という主張は今後も変えない」「世界から違反者と思われるのは悲しいが、自分はドーピングとの闘いの最前線に立ってきた人間だ」 (c)AFP