■文化センターに

 長年、刑務所からの脱獄を試みた受刑者はほとんどいなかった。たとえ脱獄したとしても、長さ20キロ、幅10キロほどの島をさまよい、小動物を捕まえて食べるなどした末、再逮捕されて終わるのが大部分だった。

「見て分かる通り、(受刑者の)家には鉄格子はない。決められた時間に外に出歩くことが許可されていて、受刑者はランニングやバスケットボール、サッカーなどを楽しみ、テレビを見たり、ワークショップに顔を出したりしていた」。警務部門責任者だったグレゴリオ・ロペス(Gregorio Lopez)氏はこう説明した。

 ここを熱帯の楽園だとは思わない受刑者もいた。2013年には厳重警備指定区域の一角で、約650人の受刑者が食事と医療の改善を求めて暴動を起こし、約30人が負傷した。

 メキシコ本土マサトラン(Mazatlan)の港から週1回、看守や物資を運ぶ船便が出ている。まもなく、最後に残った看守がこの船で本土へ戻り、トレスマリアス諸島の新たな章が始まる。

 元刑務所は、1930年代に2度ここへ収監された政治活動家で作家のホセ・レブエルタス(Jose Revueltas)氏を記念する文化センターとなる計画だ。(c)AFP/Jose OSORIO