【4月4日 AFP】フィリピン政府は4日、南シナ海(South China Sea)で係争地の一つとなっている島付近を中国船がここ数か月で数百隻航行したとして、「違法」だと抗議した。かつての対立をしばらく抑えていたフィリピンが、改めて中国を公然と非難した形だ。

 数百兆円規模の物流と、海底に眠っているとみられている豊富な石油資源を狙い、中国とフィリピンに加え、ブルネイ、マレーシア、台湾、ベトナムが、南シナ海に浮かぶ島々や岩礁、海路の領有権を主張している。

 とはいえロドリゴ・ドゥテルテ(Rodrigo Duterte)政権は概して、対中貿易や中国からの投資を優先し、中国側の主張に対してかつてのような強硬姿勢で応じることは避けてきていた。

 パグアサ島(Pag-asa Island、中国名:中業島、Thitu Island)はフィリピンが実効支配しているが、同国軍によると、今年1~3月に同島周辺で中国の漁船と沿岸警備艇合わせて少なくとも275隻が確認されたという。

 外務省は、その「多数の船を航行させる戦術」により、中国船の意図が疑問視されるとしているが、フィリピンが同島で行っているインフラ事業に圧力をかける動きだとの臆測も出ている。

 同省は、「このような行為は、中国政府が関与を断固否定しない場合、承認しているものとみなされる」と指摘している。(c)AFP