【4月6日 CNS】中国科学院(Chinese Academy of Sciences)「古脊椎動物・古人類研究所(Institute of Vertebrate Paleontology and Paleoanthropology)」は、甘粛省(Gansu)玉門(Yumen)で採集した1億1000万年前の中生代の鳥類化石を調査した結果、体内に卵の殻が残っていることを発見した。腹腔内に卵の殻を残したままの絶滅鳥類「エナンティオルニス類」の化石が発見されたのは、世界で初めて。

 鳥類進化研究における重大発見を記した研究論文は、オンラインの国際的学術ジャーナルであるネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に発表された。専門家によると、鳥類の進化はその生殖・生育システムと密接な関係にあり、卵の殻を体内に残した鳥類化石の世界で初めての発見は、古鳥類の生殖・生育の研究に新しい手がかりを与え、早期の鳥類の進化過程を解明するために新たな証拠を提供するとしている。

 論文の第一著者である、同研究所のアリダ・バイユール(Alida Bailleul)研究員と指導員であるジンマイ・オコナー(Jingmai O'Connor、中国語名は鄒晶梅<Zou Jingmei>)研究員によると、体内に卵の殻を残した鳥類化石は、甘粛省玉門市の1億1000万年前の白亜紀前期の湖成相堆積物の中で発見された。新種に属するものだと判定され、「施氏慈母鳥(Avimaia schweitzerae)」と命名された。

 化石は平たい頁岩(けつがん)の中にあり、頭部は失われていたが、極めて珍しいことに、腹腔内にほぼ完全な形の卵の殻(表層膜と角質層などを含む)が残っていた。

 化石の組織切片と走査型電子顕微鏡観察の結果、「施氏慈母鳥」の卵の殻は極めて薄く、殻が2層になった異常な構造が見られたという。研究者らは、この雌鳥は現在の爬虫(はちゅう)類などによく見られる卵塞症だったのではないかと分析している。(c)CNS/JCM/AFPBB News