【4月9日 東方新報】中国の電気通信事業者大手3社の2018年度決算が出そろった。通信大手3社は中国移動(チャイナモバイル、China Mobile)、中国電信(チャイナテレコム、China Telecom)、中国聯合通信(チャイナ・ユニコム、China Unicom)。3社の昨年の純利益は1492億4800万元(約2兆4690億円)だった。1日の平均利益を計算すると約4億900万元(約68億円)となり、前年度の3億6500万元(約60億円)に比べて収益力は一段と良くなっている。

 3月に行われた全人代の政府活動報告の中で、中小企業向けのブロードバンド平均使用料を15%引き下げ、モバイルネットワーク通信の平均使用料をさらに20%以上引き下げることが示された。また、中国全土で携帯電話番号ポータビリティーを実現し、料金プラン設定を規範化するとしている。工業情報化部の苗圩(Miao Wei)部長も、今年は1000ギガの光ケーブルのモデル展開を行い、100ギガの光ケーブルの一部を1000ギガに引き上げるとコメントしている。

 伝送速度の加速と費用の引き下げは、政府の主導によるものであると同時に、民意の圧力に押されてのことでもある。通信大手3社は三つどもえの競争関係にはあるが、費用の設定や料金プランの作り方も大同小異で、消費者にとっては公平な選択ができるとは言えない状況だ。大手3社にも独占経営の影がつきまとう。問題は、遅い接続速度で不合理な費用を取る経営方式であれば通信大手3社はさらに多くの利益を得ることができるが、この経営モデルは持続可能ではなく、電気通信技術のアップグレードに有益ではない点だ。

 中国は今年、重点都市で5Gの商業試験を開始する。通信大手3社も5Gネットワークの配置を始め、年末までには5Gの商業運用が始まる予定だ。世界では今や、5G技術や設備、そして5Gをベースとしたスマートビジネスをめぐって厳しい競争が始まっており、さらに広範囲にわたる大国間のせめぎ合いすら起こっている。5G技術はまだ商業化されていないが、米国はすでに、6Gの開発を始めている。人工知能(AI)の時代において、電気通信技術はこれまでのような単純な通信媒体やそこから派生した単純な産業ではなくなり、スマート産業全体を支えるビッグデータ・プラットフォームとその媒体となるのだ。(c)東方新報/AFPBB News