がれきに漂うせっけんの香り、内戦で閉鎖の工房が再開 アレッポ
このニュースをシェア
■世界最古
父と祖父からせっけん作りを引き継いだシャミさんは、アレッポ産のせっけんが高品質であることを誇りに思っている。せっけんはアレッポの特産品で、世界最古とも呼ばれている。
「アレッポのせっけんは、ほぼオリーブオイルでできており、他のせっけんとは違う」「欧州のせっけんは動物性油脂が、アジアのせっけんは植物性油脂が使われており、オリーブオイルではない」とシャミさんは説明した。
現在、危険な状況は改善されたが、原料や熟練した職人の数が足りないとシャミさんは話す。
■「国の宝」
現在でも数十のせっけん業者が、工房の再建を待っている。アレッポのせっけん業者組合の代表を務めるヒシャム・ジェベイリー(Hisham Gebeily)さんもその一人だ。
ジェベイリーさんは「戦闘前は町に約100軒のせっけん工房があった」が、現在せっけん作りを行っているのは約12軒だけだと話す。
アレッポのせっけん業者の多くは、首都ダマスカスやタルトゥース(Tartous)などに避難した。中には国境を越えてトルコに移住した人もいるという。
ジェベイリーさんによると、戦闘前のアレッポのせっけんの年間生産量は約3万トンに上ったが、2012年以降は1000トン以下に落ち込んだという。
だが今では、生産量は年間最大1万トンにまで回復している。せっけんは「国の宝」で「サウジアラビアにとっての石油、スイスにとってのチョコレート、ドイツにとっての自動車」に匹敵するとジェイベリーさんは語る。(c)AFP/Maher Al-Mounes