オリーブの木のサポーター制度で過疎化に対抗 スペイン
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【3月14日 AFP】「ここに生えている木は、樹齢500年以上のものです」。シラ・プラナ(Sira Plana)さんが指した先にはオリーブ林が広がっていた。緑が生い茂っているのはオリーブの木のサポーター制度のおかげだが、このプロジェクトによって、スペイン北東部のオリエテ(Oliete)村自体も過疎化による消滅を免れた。
年会費50ユーロ(約6000円)を払ってプロジェクトを支えている約2500人のサポーターの元には毎年、オリーブの木の写真と2リットルのオリーブオイルが届く。これ以外の特典は、自分が投資したお金がオリエテの地元経済の活性化と雇用創出に役立てられる満足感と、自分がサポーターになった木の命名権だ。
「プロジェクトに思い入れを持ってもらえるように」することが狙いだったと話すプラナさんは、「オリーブの木のサポーターになろう(Adopt an Olive Tree)」プロジェクトの共同創始者だ。化粧品業界での仕事を辞めてオリエテに移住した。
スペインは世界最大のオリーブオイル生産国だ。そうした国で、人々が1本のオリーブの木を支援する理由は「そのほとんどが特別な感情」によるもので、「家族や自分の子ども、祖父、オリーブ農園の思い出にまつわる」ものが多い、とプラナさんは語る。
人口わずか364人のオリエテには、100年前は約2500人が住んでいた。村の周囲には、樹齢数百年のオリーブが10万本ほど手入れもされずに放置されていたが、そのうち7000本以上が、4年前に立ち上げられたこのプロジェクトで再生された。
「この村のオリーブの木は、何世代もの人々にたくさんのものを与えてきてくれた」と、プラナさんは語る。
「1本の木を救う以上に大きな効果をもたらす」と語るのは、首都マドリード近郊に住む会計士のエステル・ロペス(Esther Lopez)さん(41)だ。3年前にサポーターになった。「私たちがそれぞれ出す50ユーロで、寂れかけていた村を立ち直らせることができるんですから」